今でさえコーヒーは嗜好品の域を離れて、薬のような健康効果も知られるようになり、健康飲料としての価値も高まってきましたが、元々コーヒーは発達当時、薬のように扱われてきました。
それも宗教上で秘薬のように利用されていたとされています。
今回はそんな宗教に利用されてきた当時から今に至るまでの歴史、その歴史の中で生まれたコーヒーを飲まない宗教、モルモン教についての情報を紹介したいと思います。
目次
モルモン教について
モルモン教とは、正式には「末日聖徒イエス・キリスト教会」という名称のキリスト系宗教団体のことです。1830年に創設され、現在の本部はアメリカのユタ州ソルトレイクシティにあります。
何故「モルモン教」と呼ばれるかと言えば、経典として創設者のジョセフ・スミスが旧約聖書と新約聖書を参考にして著した“モルモン書”を使用している為です。しかし、教内においてはこのモルモン教という名称を使うことは推奨しておらず、同教の信者以外が使っている呼称だと考えてください。
キリスト系宗教団体と書きましたが、本来のキリスト教とは、カトリック、及びそこから分裂したプロテスタント(のいずれかの教派に属している団体)のことを指します。
このモルモン教はそのような純粋と表現できるキリスト教ではなく、カトリックやプロテスタントに属する団体からは「異端」と扱われています。
カトリックは団体として1つしか存在しないので分かりやすいですが、プロテスタントにはルーテル教会、メゾジストなどのいくつかの教派します。しかし、どの団体も共通認識として、キリスト教における三大原則である、“経典は旧約・新約聖書”、“三位一体(さんみいったい)の信仰“、“日曜礼拝(ミサ)”を守っており、これらのうち1つでも欠けているとキリスト教ではないとされます。
モルモン教は宗教的なカテゴリにおいて、プロテスタントの一教派と紹介されることがありますが、カトリックや上の三大原則を守っているプロテスタントの団体はそうとは認めておらず、多くの場合でキリスト教に似ていながらも異なる宗教と区別されます。
モルモン教では、まず経典として独自のモルモン書を用いている時点でキリスト教ではなく、更に三位一体の教えも否定しています。この三位一体とは、キリスト教において「神」と定めている創造神(父なる神)、イエス・キリスト(その子)、精霊をすべてまとめて1つの神と考え、特に分けることはしないといった教えで、祈りの最後に「父と子と精霊の御名(みな)において…」と付け加えるのはその為です。
モルモン教以外にも同様に異端とされるキリスト教系の団体はいくつか存在し、三位一体を教えとして信じていても、土曜日に礼拝を行う団体などがあります。尚、この礼拝はプロテスタントの団体での呼び方で、カトリックでは“ミサ”と呼んでおり、モルモン教でも礼拝と表現しています。
宗教上の秘薬としてのコーヒー
コーヒーが何時頃から発見されていて、人に利用されていたのかははっきりと分かっていません。
一説には有史以前から利用されていたとも言われます。
人による利用がはっきりとした頃のコーヒーは、眠気覚ましとして、あるいは病に効果のある秘薬としてイスラム教などで利用されていました。
今のようなコーヒーとはまた少し違ったようで、今私たちの口に入るような味になったのは13世紀ごろとも言われます。
こういった宗教で利用されているものは、当然他宗教にも影響を与えました。
キリスト教では悪魔の飲み物
先述したように、コーヒーはイスラム教を通じて活性化してきたものです。
ヨーロッパといったキリスト教圏からして当時イスラム教は驚異のひとつであり、イスラム教が好むものは邪悪な、悪魔のものとして扱われていました。
コーヒーも例外ではありません。
しかしそうしてコーヒーが悪魔の飲み物として扱われたのはそう長くなく、コーヒーの効能や嗜好品としての価値もあって、次第にキリスト教でも受け入れられ、好まれるようになりました。
少なくともキリスト教の歴史の中で、コーヒーの時期があったのです、後述しますが、モルモン教でコーヒーが禁忌とされるのは、モルモン教が「原始キリスト教会」をもとにして生まれた宗教であるということが挙げられます。
モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)戒律について
モルモン教はキリスト教系の比較的に新しい宗教のひとつで、正確には末日聖徒イエス・キリスト教会と呼ばれます。
成り立ちは1830年、アメリカ合衆国にて立ち上げられました。
モルモン教という呼び方は、経典であるモルモン教典に由来します。
モルモン教では、基本的に以下の様な戒律があります。
・知恵の言葉:コーヒーや茶葉を使う飲料、タバコ、アルコール、麻薬などを禁じる。
・献金の義務:収入の十分の一の献金。
・十戒:神を信じる事、を始めとする十の戒律
・純潔の律法:性欲は罪ではなく、制御するものとする。
・安息日:神に仕える日を設ける。
・断食:食事を断ち、その分のお金は寄付する。
コーヒーが禁じられるのはそのうちの一つ、知恵の言葉です。
知恵の言葉は、健康な人間のみが神聖を保つという教えに基づいて定められた教義で、健康を害すあらゆるものを禁じています。
モルモン教では、コーヒーや、茶葉を使った飲料、タバコ、アルコール、麻薬などは禁じており、過度の肉食といった健康を害す行為に関しては控えるようにとされています。
つまり知恵の言葉とは、人間が健康的に生きるために必要な戒律となります。
また、肉体を健康に保つことで、神からの祝福が得られるという考えもあるようですね。
モルモン教の方へのおもてなし方
以上のようにモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)ではコーヒーを始めとした、健康に害を与える食品や行為は禁止されています。
モルモン教では、カフェインを摂取することは体によくないとされています。そのため、モルモン教徒達はカフェインを含むコーヒーを飲まないのです。
そして、飲まないのはコーヒーだけではありません。紅茶やお茶といった他にカフェインを含む飲み物や、アルコールも飲むことはないのです。それは、中毒性があるためです。
ですが、すべてのカフェインを禁止しているかというと、そうではありません。たとえば、コーラのようにカフェインを含んでいても飲んでもいい飲み物もあるのです。
その違いがどこにあるのかというと、それは熱さです。
モルモン教というのは、熱い飲み物は摂取すべきではないという教えがあるのです。
モルモン教には、「知恵の言葉」という不変の原則があります。そして、そこには体に良い食べ物とそうでないものが記されているのです。従った者には、健康と知恵が約束されると言われているため、信徒は忠実に守っているのです。
なぜ、モルモン教ではコーヒーを禁じているのかというと、それは信者の健康を思ってのことなのです。
友人や恋人にモルモン教の人がいた場合、一緒に食事をした時や、家に招いた時にはどういった飲み物を勧めたらいいのか困ってしまうという人もいますよね。その場合は、オレンジジュースやリンゴジュースなどを用意するといいですし、本人に何が好きなのか聞いても、失礼にはなりません。
また、麦茶やジャスミン茶だったらカフェインが含まれていないので、勧めても失礼にはなりません。ですが、お茶を出す時には、事前にその中身を伝えることが大切です。モルモン教の信者にとっては、緑茶はカフェインが入っているため飲みません。ですが、コップに入れられた緑茶の場合は、その中身まではわかりません。
事前に、どういったお茶かを説明して、カフェインが含まれていないことを伝えるようにしましょう。
ですが、気を付けたいのはカフェインが入っているのは、飲み物だけではないということです。アイスクリームやお菓子にも、コーヒーや緑茶を使ったものはあります。飲み物ではないから大丈夫だろうと考えるのはとても危険です。
モルモン教は、数ある宗教のなかでも厳しい戒律があることが知られ、戒律を破ってしまった場合は、破門ということもあるのです。
飲み物だけではなく、お菓子や料理の中にも禁止されているコーヒーや緑茶、更にはアルコールは入れないようにしておきましょう。
モルモン教の友人や恋人と接する時には、細部に渡って気をつけることが大切なのです。
宗教というのは、それぞれに違いがあり、禁止されていることも同じではありません。その違いについて、事前に知っておくことも大切なことなのです。
相手がモルモン教を信仰しているなら、そのルールや戒律について理解を示すことがなによりも大切なのです。
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