美味しいコーヒーをお店で飲むと、「こんなコーヒーが自宅でも楽しめたらなあ」と思いますよね。コーヒーマニアなら誰しもが1度は思うことだと思います。
実は、そんな美味しいコーヒーをあなたのご家庭でも簡単に作れます!
今回はコーヒーを淹れるために必要な道具から焙煎方法、そしてまず1番に重要な豆の選び方まで徹底的に解説していきたいと思います。
コーヒーの焙煎とは
コーヒーの焙煎とは
まず、コーヒーの焙煎についてよく知らない方もいらっしゃるかもしれないので、概要を説明していきましょう。
コーヒー豆は農作物です。「コーヒーノキ」という植物になってくる小さめな果実を開けると、コーヒー豆になる緑色の実が2つ、対で入っています。これは「生豆」(きまめ、なままめ)と呼ばれています。
つまりコーヒーの焙煎とは、この生豆を煎って、その味と香りを引き出す作業、ということなのです。
コーヒー豆はそのままではとても飲むことは出来ません。なぜなら生のままでは青臭く、煎られてもいない為、全く香ばしさもないからです。
この青臭い生豆を焙煎、要するに炒めることで、薄緑色だった豆が見慣れた焦げ茶色〜黒色に変色していき、その豆の持つ甘み、苦味、酸味などが十二分に引き出されるわけです。
この焙煎の度合いで「浅煎り」「中煎り」「深煎り」という風味に違いが出てくるコーヒーが誕生します。
それでは、焙煎はどの程度行わなければならないのでしょうか。ラーメンでも茹で具合を「かため」「普通」「やわらかめ」と注文すれば茹で具合で味が変わるように、コーヒー豆にもどのくらい焙煎するかで味が明確に変わってきます。
つまり、自分の好みによって焙煎の具合を見極める必要があるのです。
コーヒーを淹れる時に美味しさを左右するのは生豆の選び方が8割ほど、と言われていますが、その次に大切になるのはこの「焙煎」です。
美味しいコーヒーを飲むためにも、しっかりと焙煎作業を行う必要があるのです。
コーヒーの焙煎をするにあたり生豆の選び方
コーヒーの焙煎をするにあたり生豆の選び方
美味しさを左右するとまで言われる生豆の選び方ですが、まずはその種類と特徴の概要を知らなければ選ぶこともできません。まずはコーヒー豆の産地や品種について簡単に知っておきましょう。コーヒー豆は、北緯25度~南緯25度の間の
「コーヒーベルト」と呼ばれる地域で栽培されています。
その品種には高地の温度差の大きい地域で作られる「アラビカ種」と、低地で作られる「ロブスタ種」があり、一般的に豆として流通しているのはほとんどが品質が良いとされるアラビカ種です。
ロブスタ種はインスタントコーヒー等に使われることが多いようです。
コーヒーの焙煎8段階
コーヒーの焙煎8段階
ざっくりと豆の種類について説明してみましたが、これからは先程も少し紹介した「焙煎度」についてお話したいと思います。
焙煎度は大まかに分けて3つ、それをまた細かく分けて8つの種類があり、それぞれで生まれる風味や味は異なってきます。この8つの焙煎度の中から、貴方のお気に入りの煎り具合を見つけていきましょう!
まず1つが浅煎り。焙煎時間が短いため、酸味の強い味わいです。苦味がなくさっぱりとしており、果実らしい風味があります。これは生豆本来の味がまだ残っているということもあるのではないでしょうか。
その中でも、「ライトロースト」「シナモンロースト」という区分があります。それぞれの種類を解説しましょう。
①ライトロースト
うすく焦げ目がついているもので、黄色っぽい状態です。酸味が強く、香り、コクはあまり感じられないのが特徴です。
②シナモンロースト
シナモン色をしています。ライトローストほどではないですが、苦味はほとんどなく、ほどよく爽やかな酸味を感じることができます。そして、それより中程度煎られたものが中煎り。
浅煎り豆に比べて暗い色のものが多く、浅煎りのものよりも湿った手触りです。コーヒー豆本来の味わいが出やすく、レギュラーコーヒーの中で広く親しまれているのが特徴です。
③ミディアムロースト
アメリカンコーヒーに適した焙煎度で、アメリカンローストともいわれ、ライトブラウンの色味が強いです。さっぱりとして後味が少ないですが、苦味をうっすらと感じることができます。
④ハイロースト
ブラウン。お家やお店でよく使われており、焙煎度選びに迷った際にはこちらの焙煎度がおすすめです。味のバランスがとれており、強すぎない風味と苦味があります。
⑤シティロースト
北米や日本で人気の焙煎度です。ハイローストより少し黒色が強いです。酸味と苦味のバランスがとても良く、コクのある苦味があるのが特徴です。「シティ」は「ニューヨークシティ」由来の名前です。
最後が深煎り。じっくりと焙煎されているため、深みのある芳ばしい香りとしっかりとした苦味が特徴です。
⑥フルシティロースト
黒に近い茶色味を帯びているのが特徴の、苦味とコクが出るため、コーヒーの苦味が好きな人におすすめな焙煎度。酸味は少なく、コーヒーの香りが強く出てきます。
⑦フレンチロースト
黒に近い色味です。コーヒー豆の内部から表面に油分が出て、テカっているのが特徴。苦味がかなり強くコクの深い味わいで、酸味はほぼありません。ブラックでいただいても美味しいですが、ウィンナーコーヒーやカフェモカなど、アレンジコーヒーに使いやすい焙煎度です。
⑧イタリアンロースト
焦げたような黒色です。ブラックコーヒーのままでは飲みにくく、ミルクや砂糖を入れるのが一般的な飲み方でしょう。コクや独特の苦味がかなり強く、全ての焙煎度の中で唯一、煙のようなな香りがあります。
焙煎レベルの違いでリラックス効果も変わってくる
焙煎レベルの違いでリラックス効果も変わってくる
一般にコーヒーを飲むとリラックスできるという感覚があります。
実はこの焙煎の仕方でリラックス効果に違いが出てくることが杏林大学医学部の古賀良彦教授の研究グループによる実験の結果でわかっています。
人間の脳は、リラックスしているときに後頭部でα波が多く出現するようになると言われています。
深煎りコーヒーと中煎りコーヒーの香りの実験でその出現の仕方を調べてみると、深煎りの方がよりα波が多く出現したとのこと。
また、逆に瞬間的な判断能力を使うような高度に集中力を要する仕事や勉強のシーンでは中煎りのコーヒーの方深煎りのコーヒーよりもより脳が活性化したのだそうです。
濃厚なコクの深い香りが期待出来る深煎りのコーヒーはリラックスをしたい時に、逆に集中したい時には中煎りコーヒーの方が効果が上がることが期待出来そうです。
生活のシーンで焙煎のレベルを使い分けるのは賢いコーヒーの楽しみ方といえそうです。
しっかりと焙煎度合いの知識も深めたところで、いよいよご家庭でのコーヒーの焙煎方法を紹介します。
準備道具
・コーヒー生豆 約100~150g
・焙煎用の手綱(銀杏・大豆を煎るもので大丈夫です)
・ドライヤーやうちわ
・軍手
・ガスコンロ
・ザル
手順
①生豆を手綱に入れる
・生豆がはみ出さないようにふたの左右をクリップなどでとめておきましょう。
②火にかける(軍手を忘れずに)
・やけど防止のために軍手をはめ、中火の火にかけます。
・約10~15cmの高さのところで、網を水平に保ちながら振るっていきます。
・ゆすり続けると3分ほどで水分が抜け、薄皮が取れ、豆の色味がライトブラウンに変わります。
③1爆ぜ(中煎り)
・そこから10分くらい煎り続けると爆ぜ(はぜ)の音が聞こえてきます。
・音がしなくなったら、中煎りの状態になっている証拠です。
④2爆ぜ(中深煎り)
・加熱開始から15分ほどでちりちりという音が鳴り始め、煙も出て独特の香りがします(中深煎り)。
・ご自分の好みの度合いまで煎ってから、火からおろしましょう
⑤すばやく冷ます
・火からおろしたら用意したザルにあげて、豆の内部の熱で焙煎が進むのを防ぐ為にドライヤーなどですばやく冷まします。
・しばらく置いて、粗熱が取れたら焙煎完了です。
大まかな方法としてはこの5手順です。
注意すべきなのはやけどや火事、煙での汚れです。細心の注意を払って行うようにしましょう。
家庭用の焙煎専用の器具もあります。
アルコールランプの火で筒の容器に生豆を入れて手で回転しながら焙煎するタイプの「手回し式」と、熱風で焙煎するタイプの「電動式」があります。
プロが実際に焙煎する器具による焙煎方法もご紹介しましょう。
家庭用と異なり、大量の生豆をむらなく焙煎するために大型焙煎機があります。
まずは「直火式焙煎」です。
凝れば家庭用の手網と同じ原理で、バーナーの火で直に煎る方法です。
コーヒー豆は直火だと煎っているうちにムラができやすいとされていますが、プロの技術でムラなく大量の焙煎が可能となっています。
もう一つは「熱風式焙煎」です。
直火ではなく、バーナーから発生した熱風を利用した焙煎方法。熱風を穴のないドラムに送り込んで加熱するシステム。
そのため、熱量のコントロールがしやすく、ムラのない煎り方ができるというものです。
この方法だとどんなコーヒー豆でも安定して焙煎出来、大量の処理が可能な焙煎方法のため、大型工場など多くのメーカーで使用されているといわれています。
このように、ご家庭でもコーヒー豆を焙煎し、自家製のコーヒーを入れることが可能です!
最初は難しいかもしれませんが、皆さんもぜひこの奥が深い「焙煎沼」に足を踏み入れてはいかがでしょうか?
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